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マーケット動向・最新の注目ニュース

新興ビジネスを生む「夢と志」

2020.09.07
新興ビジネスを生む「夢と志」
JoBischPeuchetによるPixabayからの画像 

   ≪9/7日経新聞より≫

SAgri(サグリ、兵庫県丹波市)の最高経営責任者(CEO)坪井俊輔さん(25)は横浜国立大学3年生の学生起業家だ。国などオープンデータの人工衛星の情報を用いて農地管理のオンライン化を促進し、自治体の適切な政策や農家の農業の効率化を支援。貧困をなくすことを目指す。

研究の道志すも壁 転機は留学

2016年、初めて興した会社は子供向けの宇宙教室を運営するうちゅう(東京都墨田区)。「宇宙を学び体験する中で自信を勝ち得て夢を目指す原動力にしてほしい」。背景には夢を描けない「闇の時代」があった。

幼少期、ディズニーの宇宙飛行士のキャラクター「バズ・ライトイヤー」に憧れた。中学時代に夢の原点となったのはロケットを使わずに地上から宇宙へ物や人を運ぶ「宇宙エレベーター」だ。完成すれば誰でも宇宙へ行ける構想に心が躍った。

いつか研究者として関わりたいと考えると同時に、国益や宗教のいさかいから破壊される可能性があると知った。

もっとも、周囲の目は冷ややか。同級生は大学や身近な職業を目指し、「実現するかわからない夢を語る自分は教室で浮いていた」。いじめを受けた時期もある。両親も宇宙研究への道に難色を示した。精神的に追い詰められ、1浪して大学に進学すると夢を見失った。

転機は英国への短期留学。1カ月間、国籍も年齢も違うクラスメートと共に学ぶなかで「シュンは何をしたいの?」と聞かれた。テニスとロボットコンテストを目指すサークルに在籍し、充実感はあった。ただ、楽しい時間が続いても何にもたどり着けない焦りがあった。夢がないと自覚し、悔し涙がこぼれた。

自問自答を繰り返し、「やはり宇宙を諦められない」と原点回帰。思い起こせばクラスメートは今と未来をつなぐ道筋が見えていた。「理解不足だったから周りから否定された」と気がついた。

幸い学内に宇宙を研究できる場があり、大学の制度を活用して本来2年次からの研究室所属を前倒しした。帰国直後の1年後期から火星など惑星を走る探査機の研究に参加し、未踏の地面のスムーズな走行法を考えた。夢に向かって歩む姿に両親も理解を示した。

子供向け宇宙教室 最初の起業

研究を進めるなか、ボランティアで高校生に宇宙について講義する機会があった。周囲の期待に合わせて自分の希望する進路や将来の夢を曲げている、とかつての自分を重ねた。「子供たちが自信を持ち、周囲の大人もその選択を信じられるようになれる場をつくりたい」。しかし、自分一人の力では難しいと、起業志望の学生の集まるイベントなどにも参加した。

そこで出会ったのが、クリエーターの宇宙星太郎さん(28)だ。幼い頃から宇宙星太郎を名のる宇宙好き。初対面で話が尽きず、同じ夢を共に描ける初めての仲間だと直感。起業に誘った。


WikiImagesによるPixabayからの画像 

誰もが夢持てる社会目指す

うちゅうの経営が軌道に乗った頃、ルワンダの小学校に招かれた。子供たちに夢を聞くと「貧しいから目指せない」と諦めの声。家業の農業を手伝うために進学は許されない子がほとんどだった。再び心が動いた。「農業分野で自分たちが役立つことはできないか」

たどり着いたのが人工衛星の活用だ。18年に起業したサグリは、日本政府や米国の企業などが所有する人工衛星のデータをもとにAI(人工知能)を用いて耕作地や区画などを解析。国や地方自治体にデータを提供することで農家のロボット技術などを活用し省力化・高品質化を目指すスマート農業への移行を促す。

ビジネスはあくまで手段で宇宙エレベーターも諦めていない。「自分が実現したい社会の先に、世界平和と宇宙エレベーターは必ずある」

※つぼい・しゅんすけ 1994年生まれ。横浜国立大学理工学部在学中。2016年に学生起業家として、民間で初めて宇宙教育を手がけるうちゅうを創業した。18年、人工衛星の情報を利用し自治体などに農地情報を提供するサグリを立ち上げた。農業人口の多いインドを足がかりに世界へ進出していく。


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