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マーケット動向・最新の注目ニュース

コロナテック躍進

2020.07.20
コロナテック躍進
fujiwaraさんによる写真ACからの写真 

  ≪7/18 日経新聞より



新型ウイルスの感染拡大が続くなか、米国と中国を中心に有力スタートアップが続々と生まれている。世界に感染が広がった今年4〜6月には新たに22社が※ユニコーン(企業価値10億ドル超の未上場企業)となった。新型コロナで社会や企業活動が変わったことを追い風に、業務のオンライン化など新常態に対応した「コロナテック」企業が躍進している。

「この数ヵ月で家庭と仕事の境い目が曖昧になり、利用者がかつてなく増えた」4月に企業価値20億ドルのユニコーンとなった米フィグマのディラン・フィールド最高経営責任者(CEO)は振り返る。フィグマはスマートフォンアプリの操作方法などを複数の人が同時にデザインできるサービスを提供する。もとはデザイナー向けだったが、画面上で絵を描いて遠隔地にいる人に説明するなど、視覚的な機能が評価され、在宅で働く会社員の利用も伸びている。


上位の顔ぶれ一変

米調査会社のCBインサイツによると、2020年4〜6月に新たにユニコーンになった企業数は22社。昨年の各四半期の30社前後に比べると減ったが、1〜3月比では3社増えた。国別では米国が13社、中国が3社。7割を占める米中がイノベーションを次々と生み出し、新型コロナと共存する新しい世界をリードしようとしている。

業種の顔ぶれは大きく変わった。20年の上位はネット・ソフトウエア関連が5社のほか、クラウドを使ったデータ管理や分析、電子商取引(EC)などいずれも感染拡大を防ぎ、生産性向上につながる業種が占めた。前年同期に上位だった物流関連や旅行などは姿を消し、コロナ下での成長力で明暗を分けた。

中国でも同様だ。5月にユニコーンになった中国フィットネスアプリのキープは登録者数が2億人に達した。トレーニング動画の再生や運動記録、食事指導などの機能を持ち、感染予防と健康増進を両立する。生鮮食品ECの叮●(●はくちへんに冬)買菜は上海など都市部で生鮮食品のネット販売を展開。注文から最短29分で配送し、外出制限下で注文が急増した。

新型コロナはスタートアップに流れるお金の流れも一変させた。6月にユニコーンになった米ポストマンはソフトウエア同士をつなぐ「API」の技術開発を支援する。「多くの仕事がオンラインに移り、ソフト同士をつなぐ技術が重要になった」(ニック・トラン副社長)。コロナ下で成長余力が高いとみて、ベンチャーキャピタル(VC)から投資の話が舞い込んだ。

日本経済新聞社が出資し、テック情報サイトを運営する中国の36Krホールディングスによると、中国のスタートアップの1〜6月の調達額上位50社のうち、遺伝子解析やバイオ医薬などの医療分野が全体の2割を占めた。旧来型の業界でも、オンライン不動産仲介の「貝殻找房」は中国IT大手の騰訊控股(テンセント)などから15億ドル(約1600億円)を調達した。

経済や社会の激変期は実はスタートアップにとって大きなチャンスだ。03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時には中国ネット通販のアリババ集団が急成長した。外出自粛の影響でオンライン通販が一気に普及したためだ。08年のリーマン危機前後にはウーバーテクノロジーズ、Airbnb(エアビーアンドビー)などが相次ぎ誕生。車や住居などモノの所有から利用する動きを先取りし、成長の足がかりを得た。

今のコロナ禍もその状況に似る。CBインサイツによると、4〜6月の世界のVC投資は490億ドルと前年同期比13%減ったが、コロナ危機を成長につなげる企業には積極的に資金を出す動きが鮮明だ。中国では有望テック企業に国が主体となって資金を拠出。米国では革新的な技術を持つ企業に民間の優秀な人材や資金が集まる仕組みが定着している。「ウィズコロナ」で誕生した米中ユニコーンが近い将来、関連産業の勢力図を塗り替える可能性はある。

日本勢わずか3社

対する日本はユニコーンが3社にとどまり、米中に大きく後れを取る。技術革新を生み出すスタートアップを育成しなければ、産業の新陳代謝が進まず、国の競争力は落ちていく一方だ。国内スタートアップ投資額は年4千億円程度であり、「米国は14兆円、中国も10兆円を超え、日本とは桁が違う」(インキュベイトファンドの村田祐介氏)。

現状を打開するには資金だけでなくドローンなど先端技術に道を開く規制緩和や、大学の研究を事業化につなげる仕組みづくり、リスクに挑戦する起業家教育など課題は多い。産官学でイノベーションを生む体制づくりが急務だ。



※ユニコーン…急成長中の未上場企業


▽…未上場だが投資家から高い評価を受け、上場企業の株式時価総額に相当する評価額が10億ドル(約1070億円)に達した成長企業を指す。伝説の生き物である「一角獣(ユニコーン)」になぞらえ、めったに現れないという意味を込めて呼ばれる。米中が二大大国で、米国では新しい企業が相次ぎ登場して産業の新陳代謝が進む。中国は国策として、最先端のデジタル技術の革新を加速している。



▽…米調査会社のCBインサイツによると、ユニコーン企業の評価額の上位10社のうち9社を米中が占めた。中国ではショート動画アプリ「TikTok」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)や配車サービスの滴滴出行(ディディ)、米国ではイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発のスペースXなど有力企業が並ぶ。

▽…日本のユニコーンは人工知能(AI)開発のプリファードネットワークス(東京・千代田)など3社にとどまる。政府はスタートアップが成長しやすい環境を整える「グローバル拠点都市」に東京、愛知、京阪神、福岡の4都市圏を選定。企業に成長資金向けの補助金を優先的に振り分け政府調達の入札でも優遇するなど、スタートアップ育成に力を入れ始めている。

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