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コロナ危機 慌てる前に リスク点検

2020.03.23
コロナ危機 慌てる前に リスク点検
Gerd AltmannによるPixabayからの画像  

      3/21日経新聞より





「未体験の相場。こんなに下がるんだ」東京都内に住む20代女性会社員は驚く。2018年夏から国内株式や米上場投資信託(ETF)で運用を始め、資産を順調に増やしていったが、ここ数週間で暗転。資産は3割ほど減った。

19年12月に初めて中国で報告された新型コロナ感染症。当初、市場関係者の間では「03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の経験則から影響は一時的で相場はV字回復するとの見方が大勢だった」(ピクテ投信投資顧問のストラテジスト)という。

だが感染は拡大し続け市場には不安が広がった。2月24日に米ダウ工業株30種平均が約1000ドル急落したのを機に世界的に株安が連鎖。2万3000円前後だった日経平均株価は3月18日、約3年4カ月ぶりに1万7000円割れした。

リバランス検討

混迷相場に頭を悩ませる個人は多い。都内の50代主婦はパートの残業代でコツコツと先進国株式型の投信を買い増してきた。「1割の含み益となりそろそろ売ってへそくりにしようと思っていた矢先だった」と肩を落とす。

「まずは冷静に。慌てて行動することだけは避けたい」と助言するのはファイナンシャルプランナー(FP)深野康彦氏だ。落ち着いてリスクを取り過ぎていないか、各資産クラスで偏りがなかったか考える良い機会と捉えるべきだという。「今回の相場急落で『とても慌てた』という人は気づかぬ内にリスク資産偏重となっていた可能性が高い」と指摘する。

他のFPも「下落額をみて慌てて売却したり、積み立てを停止することは避けたい」と話す。相場混乱への恐怖から損切りし、市場から離脱すれば今後、相場の回復局面で取り戻す機会を失ってしまう。「一喜一憂するくらいなら相場を見ない方がいい。運用を続けるかどうかで長期的な成果が変わる」という。

投資方針によっても取るべき対応は異なる。ファイナンシャルスタンダード社長は「長期分散投資ではなく短期の投機をする人は投資先の破綻リスクを見極めたい」と話す。リスクがありそうなら売却も検討しなければならない。

しっかり分散投資をしていたという人も反省すべき点はないか。少し前の米国株のように大幅に値上がりした資産は本来なら残高を減らし、その分を値下がりした他の資産に振り向けてリスクを調整する「リバランス」が重要だ。

相場急落を投資チャンスと考える人は少なくないようだ。楽天証券では月間の口座開設数が2月に初めて10万件を超えた。株価急落時には休眠口座を持つ個人からパスワードや入金方法を照会する電話が殺到したという。

都内30代女性会社員は3月13日に荒波の中、日本株投資デビューを果たした。ANAホールディングス株を買い、今後も値上がり益の見込める銘柄を探すという。40代女性会社員は「信用取引で損の出た日本株を損切りし、米国株への投資機会を探る」と話す。

ウェルス・パートナーの代表は「08年のリーマン・ショック時も不安は大きかったが数年後に相場は回復した。火中の栗を拾った人がうまくいった」という。長い目でみれば、市場が弱気一辺倒のときに買える余力を持っているかどうかがカギになる。

経済指標を注視

では市場関係者は今後の相場をどうみているのか。

ピクテ担当者は「相場への打撃がリーマン時に匹敵する可能性も頭の隅に置きたい」と話す。「投資家の換金売りが殺到したことで企業の資金調達が困難になり、金融ショックを引き起こしかねない」からだ。最悪事態も想定してキャッシュ(現金)比率を高めたいと助言する。実体経済の面では生産減や物流遮断に続いて消費の落ち込みが始まっているとみる。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアストラテジストは景気や企業業績への悪影響を懸念する。「どの程度押し下げられるか見極めるには経済指標などを丁寧に点検していくしかない」という。買い場を探るにしても長期戦を想定し、まずは相場を静観するのが賢明だろう。

新型コロナの終息後に投資環境がどう変化するのかを考えておく必要もありそうだ。岡三証券のチーフストラテジストは「国や産業別の成長率、人の往来などの観点からヒントをつかみ、次の投資へ移れるよう情報収集を進めたい」と話している。

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