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マーケット動向・最新の注目ニュース

量子計算、開発競争本格化

2020.02.13
量子計算、開発競争本格化

  ≪2/13日経新聞より≫

各国、汎用機で競う

「グーグルのあの発表はすごいが、まだ逆転のチャンスはある」。東芝の後藤隼人主任研究員が語る「あの発表」とは、2019年10月にグーグルが発表した「量子コンピューター」のことだ。最先端のスーパーコンピューターで約1万年かかる計算を約3分で解いたと発表し、世界を驚かせた。

量子コンピューターは人類が到達できる究極のコンピューターとされる。AIの発展で、今後飛躍的に増えるデータ処理を支える未来の計算基盤だ。世界の研究者たちは「グーグル超え」を狙う。



日本経済新聞社と知的財産データベースを運営するアスタミューゼの共同調査によると、17年の量子コンピューターに関する特許出願数は、米国が世界全体の52%を握り首位を維持した。00〜19年の出願ランキングを企業別にみても、上位10位にインテルなど米5社が並んだ。

企業別首位はカナダのDウエーブ・システムズで、11年に世界で初めて量子コンピューターの商用化に成功した。13年に同社の製品を2番目の顧客として買ったのがグーグル。先頭を走るカリフォルニア大学サンタバーバラ校からジョン・マルティニス教授や学生を丸ごと迎え入れ、本格的な開発に乗り出した。

Dウエーブの量子コンピューターは営業の最短ルートを選んだり、飛行機や電車の時刻表を作ったりする「最適化問題」に特化したもの。一方、グーグルが開発した「汎用型」はあらゆる計算ができる量子コンピューターの「本丸」で、世界の頭脳が開発を競う。

東芝、理論研究強み

10年まで特許出願数で世界の首位に立っていた日本の企業も巻き返しを狙う。

グーグルのコンピューターの量子ビットの数は53で、実用化には百倍、千倍と増やしていく必要がある。東芝の後藤主任研究員は「さらにいくつかブレークスルーが必要だ」と話す。それを見つければまだ挽回が可能だ。質のランキングで3位に入った東芝はこの分野の理論研究に強い。

NECはDウエーブに出資する計画があるほか、産業技術総合研究所と共同で量子コンピューターの開発を目指す。NTTもレーザー光の量子論的な性質を使って独自の最適化専用型を開発する。米IBMはコンピューターのビット数にあたる量子ビット数はまだ少ないが、汎用の量子コンピューターをクラウド経由で提供し始めた。




中国、暗号など重視

出願数で2位だった中国は量子を計算に使う量子コンピューターではなく、通信や暗号に応用する分野に注力している。

科学技術振興機構研究開発戦略センターによると、中国で出願された「量子暗号」や「量子通信」の特許数は米国や日本を圧倒する。盗聴不可能な通信や暗号を作れるため、人工衛星との通信や国防の観点から重視しているようだ。華為技術(ファーウェイ)などの出願が多い。

中国は16年からの「科学技術イノベーション第13次5カ年計画」で量子関連を重要分野と位置づけ、投資額が1兆円規模とされる研究拠点を建設中だ。

米政府は21年度予算案に、2年で950億円と1年あたりの研究費を倍増する計画を盛り込んだ。

国家間の主導権争いの様相を呈するなか、日本政府も20年から量子技術への研究予算を年間300億円に倍増する方針を示した。日本は長年の蓄積から幅広い技術分野の研究者が国内にいるのが強みだが、複数の研究所に散っている。巨額の投資で人を集める米中と競うには研究体制の見直しも必要だ。

量子コンピューターで次世代の競争を制するのはどこか。資金力と人材の総力戦になる。

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