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マーケット動向・最新の注目ニュース

肺・食道・固形がんに応用

2019.11.19
肺・食道・固形がんに応用
Arek SochaによるPixabayからの画像 


CAR-T」免疫細胞療法
血液がんでは高い効果
三重大・慶大が研究


CAR-T療法は血液のがんである白血病の一部で高い効果があります。血液中の白血病細胞が持つ分子を攻撃の標的にするように、免疫細胞を遺伝子組み換えしているためです。固形がんでは効果が出ていません。

固形がんは多数のがん細胞の固まりになっており、免疫細胞が入りにくいです。周囲に免疫細胞からの攻撃を抑える様々な細胞を集める性質があります。小さながん細胞が血液中を漂う血液がんと異なり攻撃しにくいわけです。

だが、がんの種類ごとの特性を探る研究が進み、がん細胞にある特定の分子などを目印にして免疫細胞が働くようにすれば、効果を高められる可能性が分かってきました。

三重大学の珠玖洋教授らは皮膚や食道など様々ながんの細胞内にあるペプチド(たんぱく質断片)と、それを細胞外へ運ぶ「MHC」という分子の複合体に注目しました。これに付くように免疫細胞を遺伝子組み換えしました。

人の皮膚がんを移植したマウスへ投与すると約30日後にがんが消えました。皮膚や食道、頭頸(けい)部のがんなどで2020年度の臨床試験(治験)の開始を目指します。

慶応義塾大学の河上裕教授や谷口智憲専任講師は高知大学の仲哲治教授らと共同で、子宮頸部や肺、食道などの「扁平(へんぺい)上皮がん」の細胞膜にある「GPC1」という分子を狙いました。これを標的にするように改良した免疫細胞をマウスに投与すると、がんを小さくできました。別のがん免疫薬と組み合わせると、より効果があったといいます。

国立国際医療研究センター研究所の石坂幸人副所長と広島大学の山本卓教授は 免疫細胞の表面にあり、がんへの攻撃を妨げる分子「PD-1」を対象にしました。マウスの実験では この働きを抑える酵素を免疫細胞に作用させると、がんの増殖を抑えられました。この酵素で処理した後の免疫細胞を使えば CAR-T療法の効果を高められる可能性があるといいます。

企業も固形がんを狙った研究開発を急ぎます。武田薬品工業はスタートアップのノイルイミューン・バイオテック(東京・港)と提携し、実用化を目指しています。19年中に第1段階の治験を始める計画だといいます。信州大学と創薬ベンチャー、ブライトパス・バイオは8月、固形がん治療を目指して共同研究の契約を結びました。

実用化への課題は安全性とコストです。血液がんでは副作用として「サイトカイン放出症候群」が起きます。インフルエンザのような症状で、重度の場合は低血圧や呼吸困難を誘発して死ぬこともあります。固形がんでも副作用を抑える必要があります。

初めて実用化されたCAR-T療法の治療薬「キムリア」の薬価は3300万円超です。患者自身の細胞を使うため、大量生産によるコスト抑制が難しいです。患者数が多い胃や肺など固形がん治療で普及すれば、医療財政の大きな負担になります。

コスト抑制に向けた取り組みも進みます。京都大学はiPS細胞から免疫細胞を量産する技術の開発に取り組みます。ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングは名古屋大学などと協力し、簡単に免疫細胞を改良できる安価なCAR-T療法の開発を目指しています。

「海外では 免疫細胞を加工する工程を自動化する機械も現れた」(珠玖教授)  安全性を確保しながら効果の高まる目印を見つけるとともに、細胞を安く加工できる方法を開発できるかが今後の競争の鍵になりそうです。


(出所:日本経済新聞)

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